ここは静岡県浜松市の外れにある浜辺の街。昔々の大昔、奈良という時代この辺りの海は荒れており東国と西国を行き交う船がしょっちゅう事故を起こしておりました。
そこで天皇は藤原不比等という貴族の偉い人を呼び付けなんとかするように命令しました。
藤原不比等(ふじわらのふひと)は、今でいう総理大臣です。彼は部下を率いて関西にある住吉大社から航海の護り神の魂を分けてもらい、天竜川付近の浜辺に大きな神社を建てました。
それが前回ご紹介した延喜式内社 津毛利神社(つもりじんじゃ)です。
延喜式内社というのは古代の法律がまとめられた書物に登場する神社のことで古いだけでなく政治的な影響力も大きかったようです。
何しろ昔の神社の神主というのは縄文弥生時代から続く地方の豪族(天皇のようなもの)が担当していたので神社=地域住民といっても過言では無く、神社が創建された当時の境内はとてつもなく広かったのですが時代を経るに従い段階的に縮小して今に至ります。
大きい神社の土地が縮小する過程で取り残されてしまった小さな神社を境外摂末社といいます。
津毛利神社の境内の裏にはお寺があり、その細い道を進むと住宅地に出ます。浜の方へ南下すると程なく木々の茂みが見えてきました。
茂り具合からして奥行きがあるのかと思いきや鳥居を潜ってすぐに祠状の社殿があります。
お手洗い神社では無くて
御手洗神社(みたらしじんじゃ)と読むようで、由来はおそらく境内にある御手洗池(みたらしいけ)。
日本語ってムズかしいですね!
祭日は11月23日
祭られているのは女性の姿の水の精霊、
その名はミツハヤメ(水速女命)。
神話によれば彼女は女神さまのお聖水から産まれたそうです。
パンフレットには『崇敬者多く大正4年再建』と書いてありますがようするに津毛利神社の入口にあった手を洗うところという感じですね。
神社にはふつう鳥居を潜ってすぐに水道があると思うんですがアレです。
コレです。
みたらし池には大量の腐葉土が沈んでおりちっちゃな羽虫も浮いていてちょっと衛生的ではありません。
意外なことに降りてみると底なし沼のような見た目に反し地面は硬い。
もとは砂浜だった場所ですしドロドロでもおかしくは無いのですが………
そこでこの水の正体を探るべく恐る恐る羽虫の浮いた沼に指をつっこみ一口舐めてみる。
塩辛い海水の味がするかと思いきや甘めの真水、しかも全然臭くない。
ひょっとしたら天竜川由来の湧水かも知れませんね。
それでわざわざ水の精霊が祭られていたのでしょうか? 何かご存知の方はよろしければコメント欄で教えてください。